イオキテックが語る
精密加工の真髄
2026.10.10
- オーダーメイド・自動化
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食品工場の搬送を自動化するとき、最初に考えておきたいこと
食品工場で搬送の自動化を考えるきっかけは、「もっと効率を上げたい」という話ばかりではありません。
「この箱を一日中運ぶのがきつい」
「忙しい時間だけ、ここに人を取られる」
「人によって製品を置く間隔が違って、次の機械が止まる」
「今は何とか回っているけど、この作業をできる人が少なくなってきた」
実際に相談を受けていると、こうした現場のちょっとした困りごとから話が始まることのほうが多いくらいです。
そこでコンベヤを入れればいいのか、ロボットまで必要なのか、それとも今の設備を少し改造するだけでいいのか。話を聞き始めた段階では、私たちにもまだ分からないことがほとんどです。
搬送の自動化というと大がかりなラインを想像しがちですが、実際の食品工場ではもっと小さなところから始まることもあります。逆に、無理に自動化せず人がやったほうが扱いやすい工程も残ります。
大事なのは、自動化ありきで設備を考えることではなく、今そこで何が起きていて、何を楽にしたいのかを見ることだと思っています。
搬送を自動化したい話は現場の小さな負担から始まります
たとえば、ある製品を加工機から包装工程まで運んでいるとします。
加工機から出てきた製品を作業者が受け取り、トレーに並べる。トレーがいっぱいになったら持ち上げて数メートル移動し、次の作業台へ置く。そこで別の人が製品を取り出して包装機へ流していく。
一回一回の作業だけを見ると、それほど大変そうには見えません。ところが一日続けると話が変わってきます。
製品がまとまって出てくる時間帯には、トレーを運ぶ人が加工機と包装工程の間を何度も往復します。少し遅れると加工機側に製品がたまり、急いで運ぶと今度は包装側にトレーが並んでしまう。
「ここ、コンベヤでつないだら楽になるんじゃないですか」
こういうところから搬送設備の相談が始まることがあります。
この場合、目的は必ずしも「人を一人減らすこと」ではありません。運ぶために持ち場を離れなくてよくなる。重いものを何度も持たなくてよくなる。製品がまとめて来る時間でも慌てなくなる。人による置き方やタイミングの差も小さくなる。こうした変化だけでも、現場にとっては十分な意味があります。
さらに、人を募集してもなかなか集まらない工場では、「今いる人数で続けられる工程にしたい」という理由から設備を考えることもあります。ベテランの人だけがうまく回せる工程だと、この先の引き継ぎも気になってきます。省人化という言葉だけで考えていると、こういう部分は見えにくくなってしまいます。
大きな設備を入れなくても搬送は少しずつ変えられます
先ほどの工程も、いきなり加工機から包装機まで全部つなぐ必要があるとは限りません。
まずトレーを持って歩いている区間だけローラーコンベヤにする。次に製品を受け渡す高さをそろえる。さらに、製品が少したまる場所を設けて、前後の作業速度の差を吸収する。それだけでも人の動きは変わってきます。
私たちが現場で話を聞いていると、「自動化したいんです」と相談を受けたあとで詳しく聞いていくうちに、
「全部じゃなくて、ここだけ何とかなればいいんですけどね」
という話になることがよくあります。むしろ、その「ここだけ」がはっきりしているほうが、設備は考えやすいものです。
たとえば、製品を次工程へ送ること自体はコンベヤでできても、品種切り替えのたびに条件が変わるところまで無理に自動化すると、設備がかえって複雑になることがあります。毎日同じ製品を大量に流す工程と、少量多品種で頻繁に段取りを変える工程では、同じ考え方はできません。
人がやれば数秒で済む作業を機械に置き換えるために、センサーやシリンダ、制御をいくつも追加することもあります。そうなると洗浄する場所も点検する部品も増えていきます。
「そこは人がやったほうが早いですね」
現場を見ながら、そういう結論になることもあります。自動化しない部分を残すことも、設備を考えるうえではごく普通の選択肢です。
今の作業の流れを見ずに設備だけ決めるとうまく合いません
搬送設備を考えるときに難しいのは、製品をA地点からB地点まで運べれば終わり、というわけではないところです。
先ほどのトレー搬送をコンベヤに置き換えるとしても、実際に現場を見るといろいろなことが出てきます。
加工機から製品が一定間隔で出ていると思っていたら、実際には少しまとまって出ている。包装工程はずっと同じ速度で動いていると思っていたら、フィルム交換のたびに止まっている。通路として空いていると思っていた場所を、原料を運ぶ台車が何度も横切っている。
図面だけを見ていると、コンベヤを一本通せそうに見えます。ところが現場で、
「ここ、フォークリフト通りますよ」
と言われて話が変わることもあります。反対に、作業者の方から「このスペースは絶対に空けてほしい」と言われていた場所が、聞いてみると清掃のときに必要なスペースだった、ということもあります。
そうなると、単純に最短距離で運ぶことが正解とは限りません。製品の流れだけでなく、人の動き、台車の動き、洗浄、段取り替え、機械が止まったときの逃がし方まで含めて考える必要が出てきます。
設備を入れたことで通常運転は楽になったのに、清掃のたびにコンベヤの下へ潜らないといけなくなった、というのでは、別の負担を増やしただけになってしまいます。だからこそ、最初から細かい仕様を決めるより、「今はどうやっているのか」を実際の作業に沿って見ていくほうが、結局は話が早いことが多いのです。
設備の更新時期は搬送を見直すきっかけにもなります
長く使っている機械の更新を考えているときは、搬送も一緒に見直せる場合があります。
たとえば包装機を更新することになり、新しい機械では投入口の高さや処理能力が変わる。今まで作業者が製品を持ち上げて投入していたなら、
「新しい機械にするなら、ここもコンベヤで送れないかな」
という話が自然に出てきます。これは、新しい機械を入れるからついでに大がかりに自動化しよう、という意味ではありません。もともと更新する予定だった設備に合わせて、その前後の作業も一緒に考えてみる、ということです。
逆に、既存設備がまだ十分使えるのであれば、搬送を自動化するためだけにそこまで全部入れ替えるのは負担が大きいこともあります。
既存機を残すのか。更新と同時に前後設備まで変えるのか。あるいは接続部分だけを作り直すのか。このあたりは、機械の年数だけでは決まりません。
「今の機械はまだ使えるんです。でも、この受け渡しだけがずっと大変で」
そういう相談なら、設備更新と搬送改善を分けて考えることもあります。機械の入れ替えと、その前後の自動化をどこまで一緒に考えるか迷っている場合は、設備更新と自動化を一緒に考えるときの記事でも、もう少し詳しく触れています。
小さな改造を重ねた先に自動化が見えてくることもあります
自動化は、新しい設備を一式入れるところから始まるとは限りません。
たとえば、コンベヤの横で作業者が製品の向きを一つずつ直している工程があったとします。最初の相談は、
「このガイド、もう少し何とかなりませんか」
という程度かもしれません。そこでガイドの形を変えて製品の向きがそろいやすくする。それでも一部だけ乱れるので、製品間隔を少し広げる機構を追加する。さらに次工程とのタイミングを合わせるため、センサーで製品を検出してコンベヤの動きを調整する。
最初はただのガイド改造だったものが、少しずつ機械の動きに置き換わっていく。結果として、それまで人がずっと横についていた工程から、手を離せる時間が増えることがあります。こういう進み方も、自動化の一つの形です。
ただ、小改造を重ねていくと、途中で「ここから先は部分的に直すより、機構そのものを考え直したほうがいいのでは」というところに来ることもあります。既製品のコンベヤだけでは収まりにくい。既存設備の高さを変えられない。製品の形が特殊で、一般的なガイドでは安定しない。
そうなったときは、既存設備に合わせたオーダーメイドを考える記事のように、今ある設備を前提に機械側を合わせていく考え方もあります。どこまで既存設備を使い、どこから作り直すかは、実際の機械を見てみないと決めにくいところです。
設計した設備と実際に直す現場が離れると話がかみ合わないことがあります
搬送設備は、入れて終わりではありません。食品工場では毎日動かしますし、製品が変わることもあります。数年後に前後の機械だけ更新される、ということもよくあります。
そのとき、最初に設備を設計した人と、あとから修理や改造をする人が違うと、少し話がかみ合わなくなることがあります。
以前、搬送途中の製品をセンサーで検出する設備で、図面上では問題なく見える位置にセンサーが付いていたのに、実際に製品を流すと検出が安定しないことがありました。製品の姿勢が毎回まったく同じではなく、少し傾いた状態で流れてくるためです。
「図面ではここなんですけど、実際に流すとこっちのほうが拾いますね」
現場で製品を流しながら位置を少し変えると、動きが落ち着きました。
別の設備では、機械部分がほぼ出来上がってから制御を合わせることになり、「この動きをさせるなら、ここにも検出がほしい」という話があとから出て、ブラケットを追加することになったこともあります。一方で、最初の段階から機械の動きと制御を一緒に確認していた設備では、製作前にセンサー位置を変えられ、実際に製品を流したときは微調整だけで済んだこともありました。
同じように製品を検出して搬送する設備でも、出来上がるまでの過程によって、現場で起きることは少し変わってきます。なぜそうなるのかまでここで書くと長くなるので、この話は設計から保守まで一貫して見る体制についての記事に分けています。
自動化するかより、誰とどの段階から考えるかが残ります

搬送の自動化を考え始めても、最初から答えを決める必要はありません。
コンベヤ一本で済むかもしれません。既存設備への小さな改造で負担を減らせるかもしれません。設備更新のタイミングまで待ったほうが無理がないこともあります。もちろん、製品の流れを大きく変えたほうがいい場合もあります。
費用だけを比較しても決めにくいのは、そのためです。毎日どれくらい人が動いているのか。その作業を今後も担当できる人がいるのか。品種が変わったときに対応できるのか。故障したときに誰が見るのか。数年後に前後の設備を変えたくなったとき、また手を入れられるのか。こうしたことまで含めると、「コンベヤを入れたら何年で元が取れるか」だけでは見えない部分が出てきます。
有限会社イオキテックでは、愛媛県を拠点に、四国を中心として全国の食品工場から、搬送設備や既存機械の改造、自動化について相談を受けています。
搬送を自動化したほうがいいのか、それ製造ラインをすべて一括で請け負うという意味ではなく、設計、製作、制御、据付から、その後の修理、改造、保守まで、同じ会社の中で現場を見続けています。設計したときには想定していなかった使い方が数年後に出てくることもありますし、「ここだけ変えたい」という相談から始まることもあります。とも今の方法を残したほうがいになっているのか」から考える方法もあります。自動化すること自体を先に決めるのではなく、今の設備を残すいのか。図面や文章だけでは分かりにくい場合には、一度実際の設備や作業の流れを見てもらい、「何が一番負担可能性も含めて話をすることはできます。設備や搬送について相談したい場合はこちら
最後に残るのは、「自動化するかどうか」だけではなく、誰と、どの段階から一緒に考えていくか、という問いなのかもしれません。
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