有限会社イオキテック

コラム

イオキテックが語る

精密加工の真髄

2026.08.01

オーダーメイド・自動化
             

食品工場の自動化は、何から相談すればいいのか迷ったときに考えたいこと

「人が足りないので自動化したいんです」――そうしたご相談は、もちろんあります。ただ、詳しくうかがっていくと、少し違う話だったということも珍しくありません。

「人数自体は足りていないんですか」とお聞きすると、

「いえ、人はいるんです。ただ、この工程だけ誰も入りたがらなくて」

という答えが返ってくることもあります。人手が足りないというより、特定の工程に負担が偏っている、という話だったりします。

こうしたやり取りからも分かる通り、最初から自動化そのものを目的にしているケースは、それほど多くない、というのが正直な印象です。

「毎日ここだけ残業になってしまう」「担当者が変わると作業時間が違う」「この作業だけ、どうしても腰への負担が大きい」「修理しながら使ってはいるけれど、このままでいいのか分からない」――そんな話から相談が始まることの方が、むしろ多いくらいです。

設備を大きく入れ替える話に発展することもあれば、少し手を加えるだけで現場の負担が変わることもあります。逆に、今は自動化しない方が現場に合っている、という結論になることもあります。

だからこそ、相談の時点で結論を決めておく必要はありません。この記事では、自動化を進めるかどうかではなく、「何を見ながら考えればよいのか」という視点で、現場でよくあるやり取りを交えながらお伝えします。

自動化という言葉より先に、日々の困りごとから話が始まることがあります

食品工場の自動化というと、大きな設備やロボットを思い浮かべる方も少なくありません。

ですが現場では、「この工程だけ人が張り付いている」「ここだけ作業が止まりがちだ」といった、小さな負担の積み重ねが相談のきっかけになることがあります。

例えば、製品をコンベヤへ並べていく工程です。

製品自体は軽くても、向きをそろえながら一定間隔で流し続けるとなると、担当者によって速度にばらつきが出たり、疲れが出てくる午後だけ詰まりが増えたりします。

「全部自動にしたい」という話ではなく、

「ここだけ、もう少し楽になりませんか」

そんな相談から始まることも珍しくありません。

自動化という言葉を使わなくても、現場には毎日の負担を減らしたいという思いが先にあります。その先に、結果として自動化という選択肢が見えてくることがあります。

作業を見直してみると、全部を変えなくても改善できることがあります

一つの工程を自動化すると聞くと、ライン全体を大きく作り替える印象を持たれることがあります。

しかし実際には、そこまで手を加えない方法を選ぶこともあります。

例えば、

・ 製品の向きを整えるガイドを追加する
・ センサーを増やして停止のタイミングを安定させる
・ コンベヤの高さを少し変えて持ち替える動作を減らす

こうした変更だけでも、作業の負担が変わることがあります。

もちろん、それだけでは解決しない場合もあります。人が何人必要なのか、どこで待ち時間が発生しているのか。そうした流れを見ていく中で、「ここだけ変える」という選択に落ち着くこともあります。

部分的な改善を積み重ねた結果として、後から振り返ると自動化と呼べる形になっていた、というケースも少なくありません。

更新のタイミングだからこそ考えやすくなることもあります

長く使ってきた設備は、修理を繰り返しながら使い続けることが珍しくありません。

もちろん、それ自体が悪いわけではありません。

ただ、モーターや制御機器の入手が難しくなってきたり、部品を一から作り直す回数が増えてきたりすると、「このまま直し続けていいのだろうか」という話になることがあります。

そのタイミングで、

「せっかく入れ替えるなら、この作業も少し減らせないだろうか」

という考え方が自然に出てくることがあります。

更新は、単純に新しい設備へ交換するだけの作業ではありません。今まで人が行っていた作業を一部取り込めることもあれば、逆に、今の作業方法をそのまま残した方が運用しやすいこともあります。

設備を新しくするタイミングをどう活かすかについては、更新という切り口だけでも考え方がいくつか分かれますので、詳しくは[設備更新について詳しくまとめた記事はこちら]でもご紹介しています。

小さな改造が積み重なって、自動化という形になっていくことがあります

現場では、「今回はこれだけ」という小さな改造が、何年もかけて重なっていくことがあります。コンベヤを少し延長し、センサーを一つ追加し、排出位置を変える。積み重ねていくうちに、気づけば設備全体の使い方が変わっていた、ということも起こります。

その途中で、

「ここまで変わったなら、この工程も機械に任せられるかもしれない」

という話になることがあります。

逆に、途中で改造を重ねた結果、後から全体を見直した方が早かった、というケースもあります。どちらになるかは、その時点ではまだ分からないことも少なくありません。

オーダーメイド設備というと、新しいラインを一から作るイメージを持たれがちですが、現場では既存の設備を活かしながら少しずつ形にしていくこともあります。そのあたりの考え方は[オーダーメイド設備についての記事はこちら]でも触れています。

同じ内容でも、関わるタイミングで現場の様子が変わったことがありました

トップチェーンコンベヤ

以前、ある搬送工程で製品の詰まりが続いている現場がありました。

設備自体は動いていましたが、担当者が付き添って製品を直し続けている状態でした。

最初はセンサーを追加する方向で話が進みました。図面上では問題なく見えたため、その位置のまま製作が進みます。ところが実際に流してみると、製品が少し回転しただけで反応が安定しませんでした。

その後、現場で流れ方を見ながら位置を細かく調整し、部品の形も少し変えたところ、付き添いが必要だった時間はほとんどなくなりました。

また別の現場では、設備を設計した会社とは別の会社に修理や改造を依頼するようになり、制御まわりだけが追加され、機械側はそのまま、という状態が続いていたこともあります。

「前の配線はこのままで大丈夫だと思います」
「いえ、この部品はもう交換できないので、別の方法になります」

そんなやり取りが重なるうちに、最終的には最初に想定していた内容とは少し違う設備になっていた、ということもありました。

制御を担当した人が、計画の早い段階から同席していたかどうか。据付のときに、現場で微調整できる余地が残されていたかどうか。修理を担当する人が、それまでの経緯をどれだけ知っていたかどうか。同じような改造を進めていても、そうした違いが結果に表れることがあります。

同じような自動化を考えていても、途中で見えてくる結果が変わってしまう場面はあります。その理由は、一つとは限りません。

実際に相談すると、何から話が始まるのか

「相談したいけれど、何を準備すればいいのか分からない」というお声をいただくこともあります。

図面が残っていれば助かりますが、なくても相談自体は始められます。古い設備になるほど、図面が今の状態と少し違っていることも珍しくありません。そうしたときは、実際に設備を見せていただきながら、「まずはここから確認してみましょう」というところから始まることも少なくありません。

話が進めやすくなるのは、どの工程で困っているか、一日にどれくらいの数量を流しているか、その工程に何人ついているか、といった内容です。細かい数字でなくても、「だいたいこれくらい」という現場の感覚から始まることがほとんどです。

設備をつくった会社でなければ相談できない、と思われている方もいますが、そうとは限りません。今の設備を手がけた会社とは違う立場から、あらためて現状を見せていただくこと自体が、相談の入り口になることもあります。

自動化するかどうかより、誰とどこから話を始めるかも大切になります

食品工場の自動化を考えるとき、どうしても設備そのものへ目が向きやすくなります。もちろん、それ自体は大切なことです。

ただ実際には、設計、製作、制御、据付、修理、改造、保守まで、どこで誰が関わるかによって、現場で感じる使いやすさが変わってしまうことがあります。

設備を手がけた会社と、いざ止まったときに見てもらう会社が違う。それ自体は、決して珍しいことではありません。ただ、自動化を考える段階から、将来どこが保守していくのかも含めて考えておくと、後々困りにくいケースがあります。

私たちも四国を中心に、全国の食品工場からご相談をいただく中で、「最初に現場を一緒に見てもらえばよかった」という声を聞くことがあります。

それは、大規模な設備をつくる話とは限りません。今の設備を直すべきなのか、少し改造するだけで済むのか、それとも更新した方がよいのか――そうした迷いを、現場で一緒に見ながら考えていく時間だったのだと思います。

設計した人と、後から修理や改造に関わる人が同じ会社にいることで、見え方が変わる場面もありますが、その体制についての詳しい話は別の記事に譲ります。設計から保守まで一貫して対応する体制についてはこちら

自動化は、設備を増やすこと自体が目的ではありません。今の現場で何が負担になっているのかを確認した結果、自動化しないという結論になることもあります。

迷う状況であれば、一度実際の設備や作業の流れを見ながら話をしてみる、という方法もあります。愛媛県に拠点を置き、設計から製作、制御、据付、修理、改造、保守まで現場に関わってきましたが、最初から答えを決めて伺うことはありません。

自動化するかどうかではなく、誰とどの段階から一緒に考え始めるのか。その視点から今の設備を見直してみると、これまでとは違う選択肢が見えてくることがあります。

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