有限会社イオキテック

コラム

イオキテックが語る

精密加工の真髄

2026.10.17

機械の修理・メンテナンス
             

食品機械の水漏れ、原因を探る前に現場で知っておきたいこと

水漏れが電気設備にかかっていそうなときや、感電・転倒など安全に関わる異常が疑われるときは、原因を突き止めようとしないでください。安全に停止できる場合は運転を止め、危険な場所には近づかず、ご連絡ください。工場の安全手順がある場合は、そちらを優先してください。

とはいえ、食品工場で見つかる水漏れが、どれも急ぎの修理になるわけではありません。

「床が濡れているけど、昨日の洗浄の水が残っていただけかな」
「運転には支障がないし、次の休みまで待てるだろうか」
「昨日はなかったのに、今朝は機械の下に水たまりができている」

現場で水漏れに気づくきっかけは、たいていこのくらいの小さな違和感です。声をかけ合っても、結局どうするか決めきれないまま、その日の生産が始まることも珍しくありません。

この記事では、そうした場面でよく出てくる原因と、様子を見てよい場合、早めに手を打ちたい場合、そして修理だけでは収まりにくい場合について、現場でのやり取りを交えながらお話しします。読み終えたときに、自分の現場はどちらに近いのかを考えるきっかけになれば幸いです。

機械の下が濡れていると、まず迷うのが場所と原因です

トップチェーンコンベヤ

食品工場では、機械のまわりが濡れていること自体はそれほど珍しくありません。製造中に水を使う設備もあれば、洗浄のあとに機械の隙間から水が出てくることもあります。蒸気や温水を使う設備なら、配管の表面に水滴がつくこともあります。

ですから、床に水を見つけても、故障なのか通常の作業で出た水なのか、その場ではわからないことが多いのです。

現場でよく出てくる原因を先に挙げておくと、配管の接続部やパッキンからの漏れ、ポンプの軸まわりからの漏れ、振動による緩みやひび、そして洗浄の残り水や結露のように、そもそも故障ではないものがあります。どれにあたるかで、急ぐかどうかも、直し方も変わってきます。このあと順に触れていきます。

たとえば、朝の始業前に機械の下が濡れていたとします。前日の洗浄水が残っていたのかもしれませんし、夜のあいだに配管から少しずつ漏れたのかもしれません。

相談の電話でも、「水が出ているのは間違いないんだけど、どこから出ているのかわからない」という言葉をよく聞きます。

水がたまっている場所と、漏れている場所は、必ずしも同じではありません。配管の継手から出た水が配管を伝って流れたり、フレームをたどって離れた場所に落ちたりするからです。真下に水があるからといって、その真上に原因があるとは限りません。

もう一つ、いつ漏れるかも大事な手がかりになります。運転中だけ出るのか、止めているあいだにじわじわ出るのか。ポンプが回って圧力がかかったときだけなのか、温水を流したときだけなのか。原因を探すときに、あとからこの情報が効いてきます。

ただ、生産中の現場では、機械を止めてじっくり見る余裕がないのが実情です。生産を続けたい気持ちと、大きくなる前に直したい気持ちのあいだで迷うのは、ごく自然なことだと思います。

まずは「濡れている」ことだけで故障と決めつけず、どんなときに、どのあたりから水が出ているのかを見ておく。それだけでも、次の判断がずいぶん楽になります。

水が出ていても、すぐには直さなくてよい場合があります

水漏れに見えても、機械の故障ではないことがあります。

よくあるのは、洗浄のあとに内部へ残った水が、時間をかけて出てくるケースです。フレームの中やカバーの裏、部品の取り付け部には、水が残りやすい場所があります。洗浄直後は何ともなかったのに、しばらくして床に落ちてくることもあります。

この水が洗浄の残りだとはっきりしていて、衛生面や安全面にも問題がないなら、部品を替えるような修理はいりません。ただし、いつも同じ場所に水が残るのであれば、水が抜けやすい形に直せないかを考える余地はあります。

結露も、水漏れと見間違えやすいものです。冷水や冷却水が通る配管は、まわりの湿った空気に触れると、表面に水滴がつきます。継手から漏れているように見えても、実際には配管の表面にできた水滴が集まって落ちているだけ、ということがあります。この場合、パッキンを替えても水は止まりません。保温や水の受け方を見直すことはあっても、配管そのものを直す必要はないかもしれません。

「少し様子を見よう」と考えること自体は、間違いではありません。ただ、様子を見るというのは、放っておくこととは違います。

安全を確保したうえで水を拭き取り、次の運転や洗浄のあとにも同じ場所が濡れるかを確かめる。止めているときだけ出るのか、温度が変わると出るのかも見ておく。一度出たきり再現しないのか、毎日少しずつ増えているのか。この違いで、その後の考え方は大きく変わります。

逆に、原因がわからないまま水が出続けている場合は、様子見を優先するべきではありません。製品に水が混ざるおそれ、電気設備への影響、床の滑りといった心配があるなら、量が少なくても早めに手を打つ必要があります。

急がなくてよいのは、原因と出方がつかめていて、安全にも衛生にも影響がないと言える場合に限られます。

少しの水でも、早めに手を打ったほうがよいのはどんなときか

パック搬送コンベ

最初はわずかな水漏れでも、放っておくと悪くなっていくものがあります。

比較的多いのが、配管の接続部やパッキンからの漏れです。食品機械は、洗浄や部品交換のために配管や機器を外せる造りになっていることが多く、その接続部には漏れを防ぐパッキンが入っています。長く使うとパッキンが硬くなったり、形が崩れたりして、そこから少しずつ水がにじんできます。

分解して洗ったあとに、パッキンがきちんと収まっていなかったり、異物を挟んでいたりして漏れることもあります。

「昨日パッキンを替えたばかりなのに、また漏れている」

こう聞いたときは、部品の劣化ではなく、取り付け方に原因があることを疑います。パッキンを合ったものに替える、組み直す。それで収まるなら、それ以上大がかりな修理は要りません。

ただし、漏れるからといって締め込めばよいわけではありません。接続の方式によっては、締めすぎでパッキンがつぶれたり、ねじ部を傷めたりして、かえって漏れやすくなります。

ポンプの軸まわりからの漏れも見逃せません。ポンプには、回転する軸のまわりから液が出ないようにするシールがあり、その代表がメカニカルシールという部品です。回転する部品と固定された部品の接触面で、液体の漏れを抑える仕組みです。使い込んで摩耗してくると、ここから漏れが出てきます。

「ポンプは普通に回っているから、まだ大丈夫だろう」

そう思いたくなる気持ちはわかります。ただ、漏れが増えていくようなら、軸受やモーター側に液が回り込んで、別の故障につながるおそれがあります。なお、ポンプの種類によっては、わずかな漏れを前提とした構造のものもあります。漏れがあるかどうかだけで異常とは言えないので、そのポンプの構造と、以前の状態を知っておくことが大切です。

運転中の振動で配管の接続部が緩んだり、力がかかり続ける場所にひびが入ったりすることもあります。最初はごく少量でも、運転を続けるうちに、漏れが広がることもあります。

少しずつ増えている、運転のたびに同じ場所から出る。そんなときは、早めに修理を考えたいところです。

とりあえず止める応急対応と、原因を直す修理のすれ違い

水漏れが起きたとき、現場でまず求められるのは「とにかく止めたい」ということだと思います。生産の途中で機械が止まれば、その日の計画にも響きます。直す側も、できるだけ早く動かせる状態に戻したいと考えます。

ただ、水を止める応急対応と、原因を取り除く修理は、同じものではありません。

継手から漏れている場合を考えてみます。緩みが原因なら、組み直すだけで収まることがあります。一方、継手そのものに傷があったり、配管に無理な力がかかっていたりすると、接続部を調整しても、しばらくしてまた漏れます。

応急対応で水が止まると、そのまま使い続けられるように感じるものです。原因が本当に取り除かれていればそれでよいのですが、一時的に収まっただけなのか、直ったのかは、分けて考える必要があります。

配管にひびが見つかったときなら、運転を止めて、部品を替えるまでのあいだ、漏れが広がらないようにしておく。これは被害を広げないための応急対応です。

食品機械では、製品に触れる部分や洗浄が必要な部分があるため、市販の補修材やテープをむやみに使うわけにはいきません。衛生面、耐熱性、耐圧性を確かめないまま応急補修して生産を再開するのは避けたいところです。

こんなやり取りも、現場ではよくあります。

「水は止まったので、これで直りましたね」
「今は止まっていますが、配管の取り付け方にも原因がありそうなんです」

現場としては、まず生産を再開できる状態にしたい。直す側は、同じ故障がまた起きないかが気になる。どちらも間違っていません。だからこそ、応急対応でどこまで戻せたのか、あとでどんな修理が要りそうなのかを、その場で共有しておくと話が早くなります。

すべての水漏れが、その場で完全に直せるとは限りません。部品の手配や分解が必要なら、止められる日に合わせて修理を組むこともあります。ただ、そのあいだ安全に使えるかどうかは別の話です。応急対応ができたことと、運転を続けて問題ないことは、同じ意味ではありません。

部品交換で収まる水漏れと、同じ場所から繰り返す水漏れ

食品機械で使われているポンプ

食品機械の水漏れは、部品を替えれば収まるケースも少なくありません。

長年使った配管のパッキンが傷んでいただけなら、接続部に傷や変形がなく、配管に無理な力もかかっていない限り、交換で元の状態に戻せます。ポンプのメカニカルシールが摩耗している場合も、軸や取り付け部に問題がなければ、部品の交換で十分なことが多いです。

そうして直ったあとも安定して使えるなら、機械を入れ替える必要はありません。まだ働ける設備を、部品が傷んだというだけで更新するのは、費用の面でも負担が大きすぎます。修理によって安定した運転に戻せるのであれば、それ以上の対応を考える必要はないでしょう。

一方で、同じ場所から何度も漏れるようなら、見方を少し変える必要があります。

たとえば、継手から漏れてパッキンを替えると一度は収まるのに、数か月後にまた漏れる。最初は劣化だと思っていても、繰り返すなら、ほかに原因が隠れているのかもしれません。ポンプの振動が継手に伝わっているのかもしれませんし、配管の支えの位置が合っていないのかもしれません。接続のときに位置が合わず、無理に引き寄せて付けていることもあります。パッキンの材質が使っている液体や洗浄の条件に合っていない、腐食が進んでいる、ということもあります。

そういう状態だと、パッキンを新品にしても、同じ場所に漏れの原因が残り続けます。そのたびに一時的には良くなるのに、根っこが残っているので、また出てきます。

古い機械になると、接続部そのものが摩耗してしまい、部品を替えても合わなくなることもあります。交換する部品がすでに手に入らない、ということもあります。

修理で収まる水漏れと、そうでない水漏れの違いは、漏れた量や場所よりも、「直したあとも、同じ場所に漏れを起こす原因が残っていないかどうか」にあることが多いと感じています。直したのに繰り返す。そう思ったときが、見方を変えるタイミングです。

修理の先に、入れ替えや改造を考える場面もあります

同じ水漏れが繰り返される背景には、機械の造りや据え付けの状態が関わっていることがあります。そうなると、部品を替える修理だけでは、根本までは直しきれません。

そのときは、問題のある部分だけを入れ替える、配管の取り回しや支えを変える、あるいは機械ごと更新するといった選択肢が出てきます。ただ、どれを選ぶのがよいかは、生産量、使っている年数、予算、止められる日数によって変わります。最初から更新と決めてかかる必要はありませんし、修理を重ねればいいとも限りません。

この更新と改造の考え方については、別の記事で詳しくまとめています。気になる方は、あわせて読んでみてください。

食品機械の入れ替えを考え始めるときに揺れる気持ち

目の前の水漏れを直しながら、「この先もこの機械を使い続けるのか」を少しだけ頭の片隅に置いておく。そうすると、あとで慌てずに済みます。

迷っているなら、状態を見てもらうところから考えてみる

ここまで読んでも、「うちはどっちなんだろう」と思われたかもしれません。

様子を見てよいのか、早く手を打つべきなのか。部品の交換で済むのか、もっと手前から考え直したほうがよいのか。写真や話だけでは、はっきり言い切れないことも多いのが正直なところです。

そういうときは、実際の機械の状態を、一度専門の人に見てもらうという方法があります。見てもらったからといって、修理や更新を決めなければならないわけではありません。「今は様子見で大丈夫」という答えが出ることもあります。

私たちイオキテックは、愛媛県を拠点に、四国を中心として全国の食品工場から相談を受けています。機械を設計した人間と、あとから修理や改造に関わる人間が同じ会社にいるので、水漏れの背景にある設計や据え付けの考え方まで含めて、お話しできます。この体制についての考え方は、別の記事でも触れています。

設計から保守まで分断しない体制の意味

修理が必要なのか、しばらく様子を見てもよいのか。迷われたときは、現在の状況をお聞かせください。急ぎの修理をご希望の場合も、あわせてご連絡ください。

問い合わせページ

RECOMMEND