有限会社イオキテック

コラム

イオキテックが語る

精密加工の真髄

2026.05.23

オーダーメイド・自動化
             

食品工場の省人化を考え始めたときに、先に見ておきたい現場の流れ

人が足りない。作業が追いつかない。
そういう話から、自動化の相談が始まることは少なくありません。

ただ、実際の現場では、「全部自動化したい」というより、「ここだけ何とかならないか」という空気で話が始まることのほうが多いです。

たとえば、毎回同じ場所で人が詰まる。
ある時間帯だけ急に負担が偏る。
ベテランがいる日は流れるのに、担当が変わると歩留まりが落ちる。

そういう小さな引っかかりが積み重なって、「このまま人を増やし続けるのも違う気がする」という感覚につながっていきます。

一方で、自動化と聞くと、大きな設備投資やライン全体の更新をイメージする方もいます。
ですが実際には、センサーを一つ追加しただけで作業負担が変わる現場もありますし、逆に大きく入れ替えたのに現場が楽にならなかった例もあります。

その違いは、設備の規模だけでは説明できません。

この記事では、食品工場で省人化を考え始めたときに、どこから話が動いていくのか、現場では何が引っかかりやすいのかを、実際の相談に近い形で見ていきます。

人数より先に、負担の偏りが気になる現場がある

少人化の方法を模索している様子現場でよく出るのは、「人数そのもの」より、「特定の人に負担が集中している」という話です。

ある包装工程では、製品の向きを手で整える作業がありました。
ライン自体は動いているのですが、製品の並びが少し乱れるだけで、担当者が連続して直し続ける状態になります。

慣れている人だと自然に流せます。
ただ、担当が変わると急に詰まり始める。

相談時も、「自動化したい」というより、
「この人しか回せない感じを減らしたいんです」
という言い方でした。

最初はロボットの話ではなく、コンベア途中のガイド形状の変更と、流れを見て止める簡単なセンサー追加から始まりました。
それだけでも、作業者がずっと張り付く状態は減ります。

こういう場面では、「全部機械に任せる」より、「人が無理をしなくても流れる状態に寄せる」という考え方のほうが近いことがあります。

省人化を検討するとき、現場ではこうした”偏り”の話から始まることがかなりあります。

今の作業をそのまま機械化できない場面もある

自動化の話になると、「現状の作業を機械化する」と考えがちですが、実際にはそこが難しい場面もあります。

ある現場では、製品サイズが日によって微妙に変わっていました。

作業者は、その日の状態を見ながら位置を調整しています。
本人たちは感覚的にやっていますが、実際にはかなり細かく見ています。

ここをそのまま自動化しようとすると、逆にセンサー調整や設定変更が増えてしまうことがあります。
結果として、「前より止まる回数が増えた」という話になることもあります。

だからといって、自動化が失敗だったとは限りません。
「今ある作業を全部機械側に置き換える」ことだけが正解ではない、というだけです。

場合によっては、流れを少し単純化する、工程順を変える、前工程のばらつきを先に減らすほうが、現場には合うことがあります。人が触るタイミングや場所をずらすだけで、大きく改造しなくても安定することもあります。

実際、作業者の動きを見ていると、「この人が器用だから成立している」場面は意外と多いです。
そこをどう扱うかで、設備の考え方も変わります。

小さな改造の積み重ねが、自動化の入口になることもある

現場では、「これは改造なのか、自動化なのか分からない」という状態も珍しくありません。

たとえば、充填後のトレーを一定数でまとめる工程。

以前は、作業者が数を見ながら手で寄せていました。
途中で製品が滑ったり、タイミングがずれたりすると、次の箱詰め側が止まります。

そこで、停止位置を合わせる簡単なストッパーと、光電センサーを追加しました。
話だけ聞くと小さい変更です。
ですが実際には、「人が見続けないと成立しない流れ」が少し変わります。

現場では、こういう変更が何回か続いたあとで、
「ここまで来るなら、次は供給側も合わせたほうがいいかもしれない」
という話になることがあります。

最初から大規模な計画として始まるとは限りません。
小改造を積み重ねていく中で、「今のラインなら、どこまで機械側で吸収できそうか」が見えてくる場合があります。

その途中で、既製品では形が合わず、現場の動きに合わせた形状変更や機構の調整が必要になることもあります。
そういうときは、設備の動きそのものを一から考える方向に進むこともあります。

現場に合わせた機械の製作事例はこちら

設備更新のタイミングで、流れ全体を見直しやすくなることがある

古い設備の相談を受けていると、最初は修理前提だった話が、途中で更新の話に変わることがあります。

理由は単純で、「直せるか」ではなく、「この先も同じ流れで続けるのか」という話になるからです。

たとえば、モーター交換や制御更新だけの予定だったラインで、現場を見ているうちに、
「この搬送、毎回人が付きっきりですね」
という話になることがあります。

最初は故障対応のつもりでも、更新時期だからこそラインの流れ全体を見直しやすくなる場面があります。

逆に、まだ機械自体が十分使えるなら、大きく変えない判断もあります。
更新と自動化は、必ずしも同じ意味ではありません。

ただ、設備更新の時期は、「今の流れをそのまま続けるか」を考えやすいタイミングではあります。
いつかは更新が必要になる設備があるなら、その検討をどの段階で始めるかによって、選択肢の広さが変わることもあります。
設備入れ替え時にどこまで見直すかについては、更新時に考えるライン改善の考え方はこちらでまとめています。

設計した人と後で直す人が違うと、話がかみ合わなくなることがある

ある現場で、製品検知用のセンサー位置を変更したことがありました。

図面上では問題ありません。
ですが実際に流してみると、蒸気の影響で誤検知が続きました。
その後、現場で位置を少しずつ変えながら調整した結果、最終的には安定しました。

別の現場では、制御設計がほぼ固まったあとで保守担当が初めて現場に入ったことがあります。
「この位置だと、掃除のたびに外さないと点検できない」
という話になり、結果として架台加工と配線変更が発生しました。

一方、最初の打ち合わせ段階から修理や保守に関わる人が同席していた別の現場では、そこまで大きな変更にはなりませんでした。
同じ自動化の内容でも、誰がどの段階から関わったかで、後から出てくる手間の量が変わる場面はあります。

ただ、それが「どの体制なら正しい」という話ではありません。
現場規模や設備の状態、社内でどこまで見ているかによっても変わります。

自動化しない、という見方が残る現場もある

相談を受けたあと、結局ほとんど自動化をしなかったケースもあります。

たとえば、生産量の波が大きい工場。
繁忙期と通常時の差が大きく、ライン固定化のメリットが薄い場合があります。

そういう現場では、設備を増やすより、人が動きやすい配置に変えたり、段取り替えの手順を整理したりするほうが効果が出ることがあります。

また、機械操作が複雑になりすぎると、担当が固定化されることもあります。
自動化がかえって「この人がいないと動かない」という状況をつくることもあります。

人材の引き継ぎという観点から見ると、「誰でも回せる状態に近づけたい」という相談のほうが、「人数を減らしたい」という相談より実際には多い印象です。

どこを機械に任せて、どこを人に残すか。
そのバランスは、設備の話だけでは決まりません。

自動化するかどうかより、誰とどの段階から進めるかが先に来ることがある

機械の少人化に対応するスタッフたち自動化の相談では、設備そのものより、現場での会話の中で方向が変わることがあります。

「そこは機械化しなくてもいいかもしれません」という話になることもありますし、逆に「そこは後回しにすると配線を全部やり直すことになります」という流れになることもあります。

その違いは、図面だけでは見えない部分に出ることがあります。

特に、更新・修理・制御・改造が別々に進むと、あとから調整が増える場面は少なくありません。

設計だけではなく、据付後の修理や改造まで継続して現場を見ている会社だと、話の出方が少し違うことがあります。
「最初の相談で出ていた問題と、実際に現場を見て出てきた問題が別だった」という場面は、そういう関わり方をしていると見えやすくなります。

それが必ず良い結果につながるとも言い切れませんし、現場との相性もあります。
ただ、「自動化するかどうか」だけを先に決めようとすると、後から話がずれることがあります。

「誰が、どの段階から関わるのか」を含めて考えると、後から選択肢が狭まりにくくなることがあります。
設計から保守まで継続して関わる体制については、現場を継続して見る体制についてはこちらで別にまとめています。

今すぐ大きな結論を出さなくても、まずは現場の状態を一度見直してみる。
設備更新なのか、小改造なのか、それとも今の流れを残すのか。
そういう整理をしてから動いたほうが、あとで選択肢を戻しやすい場合があります。

「今の状態だと、どこから考え始めればいいか分からない」という段階であれば、実機を見ながら話すほうが整理しやすいこともあります。

現場の状態について相談したい場合はこちら

RECOMMEND